G倒への旅立ちだ-。阪神西勇輝投手(29)が17日、「脱菅野」の単独自主トレのため、関西空港から米国ハワイに飛んだ。「自分自身変化を求めている年。とにかくパワーアップして帰ってこれるようにやりたいという一心」。その目は虎の大黒柱として、責任感に満ちていた。

昨オフまでは、4年連続で巨人菅野とハワイで合同自主トレを行っていた。2年ほど前に菅野から「そろそろ、お前が連れて行けよ」と卒業を勧められていた。プロ11年目で初めて単独トレを決意。「何かを変えないといけないと思った。責任感を持って1カ月やりたい」。知人を介して選んだ新たな練習場所はハワイの名門校。「自分1人ではもったいない場所」と抜群の環境でみっちり汗を流す。

今季はチームで唯一の2ケタ勝利を挙げたが、巨人戦には5試合で0勝2敗。プロ入りから、いまだ勝ち星がない。「どこも勝ちたいですけど、僕も今シーズンは巨人に勝ててないですし、防御率が良くても勝ち星がつかないことが多かったので、そこをなんとか勝ちきれるようにやりたい」。来季は阪神のエース的立場になる。G倒の使命を背負って、マウンドに立つ。

巨人戦初勝利が師匠との投げ合いなら、最高のシナリオだ。今季は7月8日巨人戦(甲子園)で、菅野とプロ入り初対決。6回6安打3失点と粘るも勝ち星はつかず、チームも3-4で敗れた。独り立ちしても、目指す存在であるのは変わらない。「師匠でもあり大事な先輩なので、しっかり胸を借りるつもりで。投げる時は平常心で」。来季は白星で成長した姿を見せる。

自主トレ期間は昨年よりも長い1カ月超の予定だ。「一番の狙いは1年間ケガしない体作り。余韻を残してゴールできるように、余裕を残せる体力づくりをやっていきたい」。開幕投手の大本命であり、矢野阪神2年目の開幕ダッシュは右腕にかかっている。熱い思いを胸に、西は南国でパワーアップする。【磯綾乃】