本企画では上田氏が、「クリエイティブな発想法」を基にして、社会にイノベーションを起こす各界のリーダーと対談する。
上田の芥川賞受賞後の第1作『キュー』は、創刊115年を迎える文芸誌『新潮』とポータルサイトYahoo! JAPANで、9カ月にわたって純文学小説を同時連載された。これは、日本の文芸史では、前代未聞のプロジェクトだ。そして、実はこの試みは当時ヤフーの社長だった宮坂学の発案だった。
前編に続いて、9月から東京都副知事という新しい仕事に取り組む宮坂と上田との間で、熱い議論が交わされた。「後編」のメインテーマはいよいよ、「東京の現在と未来」だ。記事末には、芥川賞作家上田岳弘氏自らによる「対談後記」も。
宮坂:いくつかの小説、あるいは孫(正義)さんも「AIとは予測マシーンだ」と言ったりしていますが、予測と判断、意思決定は違う。そして、判断や意思決定を行うのは当面は人間であり続けるんじゃないでしょうか。
上田:人間がなぜ判断させてもらえてたかというと、いちばん知的だと思われていたからでしょう。それがもしも「いちばん知的ではない」となれば、人間が判断するのは傲慢ではないか、という議論にもなりかねない。
芥川賞作家 上田岳弘
宮坂:はい、予測に関してはすでに人間は劣ってますよね。人間の予測にはバイアスしかかかっていないから。
都内の都道は国道の10倍
上田:ある「判断」に紐づいていた世界線で、「A」と判断した場合は100人死ぬ。そして「B」と判断した場合は15人死ぬ、それが「見える化」される可能性があると、「倫理的空白地」が目前になってくる未来が近いと思うんですよね。
そうなったときに、まさに、宮坂さんが行政の世界に飛び込まれたことが面白くなってくるのではないかと思います。
昨年11月13日の「朝日新聞デジタル」の宮坂さんへの取材記事の中で、都庁にはIT専門の人が正味10人しかいない、ただゼロからレンガを積み上げる必要はなくて、世界の優秀な人たちから力を貸してもらえばいいと話しておられたのが印象的でした。都のIT化にはどのようなビジョンをお持ちでしょうか。
宮坂:3つやろうと言っています。1つは東京都を「つながる」街にしようです。具体的には「東京データハイウェイ」を敷き、5GやWi-Fiなどのモバイルインターネットサービスの充実を図る。東京都はスペース、つまり土地や建物を潤沢に持っていて、都道だけで2000キロ。逆に都内の国道は、200キロしかないんですよ。これだけで10倍ですよね。
また、「ビッグサイト」で年間400〜500万人、「アクアティックセンター」とかオリンピック関係の施設なども集客力がある。「東京国際フォーラム」には、すでに毎年2000万人近くのお客様が来られています。ほかにも「味の素スタジアム」、都営地下鉄、バス、そして都立高校、代々木公園、駒沢公園とかは全部都営なわけですよ。
しかし現状、そこでインターネットがつながるかどうか? については、あまり行政の関心が払われていない。たとえば都の設備で携帯電話の基地局になっているのは、おそらく40カ所ほどしかないんですよ。
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January 09, 2020 at 05:00AM
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元ヤフー社長が描く「東京都ICT/ミラーワールド化」構想|トップリーダー X 芥川賞作家対談 - Forbes JAPAN
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