「パラサイト 半地下の家族」は他にも、ポン・ジュノ監督が監督賞と脚本賞(ハン・ジンウォンと共同)、今年から名称が変更された国際長編映画賞にも輝き、ノミネート作品では最多の4部門受賞となった。
まさに「パラサイト」旋風が吹き荒れたかたちとなったが、前評判では、アジアからの作品、または字幕付きの外国語映画なので、受賞は難しいのではないかと伝えられていた。筆者は事前にノミネート9作品をすべて観ていたが、映画としての完成度は「パラサイト」が群を抜いており、この作品に……という思いもあった。
授賞式では、脚本賞のノミネート作品発表のときに、ひと際大きな拍手があったので、もしやという考えがよぎった。そして、監督賞の受賞を聞いたとき、それは作品賞への確信へと変わった。あらためて、「パラサイト 半地下の家族」を最高賞に選んだアカデミー会員に敬意を評したい。
全編ワンカット映像で戦争を描く
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その「パラサイト 半地下の家族」を向こうにまわして、事前の下馬評では作品賞の最有力候補だったのが、「1917 命をかけた伝令」と「ジョーカー」(最多11部門でノミネート)だ。なかでも、「1917 命をかけた伝令」は、前哨戦の全米プロデューサー組合賞とゴールデングローブ賞で作品賞を受賞しており、かなり本命視されていた。
残念ながら、10部門にノミネートされながら、撮影賞と視覚効果賞と録音賞の3部門の受賞にとどまったが、この作品も完成度は高い。観どころはなんといっても「ワンカット」だ。日本の配給会社の宣伝物にも、「驚愕の全編ワンカット映像」という言葉が踊っているが、とにかく見た目には、作品の最初から最後までひとつのカメラで切れ目なく撮影した映像が続くのだ。
ワンカットは「長回し」と言い換えてもよいが、上映時間の2時間弱をこの長回しで撮影した作品と考えてもよい。ただ、配給会社の宣伝物にも記されているように「ワンカット」ではなく、あくまで「ワンカット映像」なのだ。実際には、いくつものカットを、撮影技術と編集でまるでワンカットで撮影したかのようにつないでいるのだが、それがあまりにも完璧で、全編ワンカットに見えるのだ。
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February 15, 2020 at 05:00PM
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まるで戦場にいるような感覚、ワンカット映像で描く「1917」の魅力 - Forbes JAPAN
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