外出を自粛する「巣ごもり生活」の日が続いています。そんな窮屈な日常の中でも、遊び心や楽しみ、癒やしの時間は常に持っていたいものです。 前向きに、豊かな気分で毎日を過ごすため、日刊スポーツの芸能記者が、おうちで楽しめるエンタメライフを紹介します。えりすぐりの「この一本」をどうぞ。

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「ステイホーム週間」にぴったりの作品を挙げたい。音楽座ミュージカルがステイホーム企画として、その名もずばり、代表作「ホーム」の舞台映像を5月6日までYou tubeで無料配信しています。

「ホーム」は94年初演で、配信は18年上演版です。初演時は「はじめてテレビがきた日」の副題があったように、テレビが普及し始めた昭和30年代から舞台が始まる。デパートの屋上で出会った年の差のある哲郎とめぐみ、60年安保の学生運動の先頭に立つ宏といずみの2組が主人公です。

当時、テレビはホーム(家庭)の幸せの象徴でした。哲郎とめぐみは結婚し、娘広子も生まれるが、ある日、めぐみは家族の前から姿を消す。学生運動に疲れた宏といずみも別々の道を歩む。2つの物語が絡み合い、接点のなかった人間同士が絆を結んでいく展開に、生あるものすべてが地球という「ホーム」に生きる家族という壮大なメッセージを込めた、今だからこそ、見てほしい作品です。

いずみ役の高野菜々、めぐみと広子の2役の森彩香の伸びやかで透明感ある歌声、娘への愛情が胸に迫る哲郎役の広田勇二の演技に注目してください。大劇場のミュージカルもいいけれど、日本にも、こんなにステキなオリジナルミュージカルがあるのです。【林尚之】