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「日本で幸せに暮らしたい」 仮放免の子ら描く家族の絆 オンラインで展覧会 - 毎日新聞 - 毎日新聞

ペルー国籍のマリアさんが描いた家族の絵。「私たち家族は日本で暮らせることを心の底から願っています」とメッセージを添えている=仮放免者の会提供

 「日本で家族と幸せに暮らしたい」。入管当局の拘束を一時的に解かれた「仮放免」中の外国籍家族の子どもたちが、「家族の絆」を描いた絵の第1回展覧会が「こどもの日」の5日、オンラインで開催された。絵とともにメッセージも寄せた若者たちは、支え合う家族に対する深い愛情や、生まれ育った国の日本で暮らしていきたいとの強い思いを伝えた。【和田浩明/統合デジタル取材センター】

「このまま全員で残りたい」

 イベントは当事者と支援者がつくる「仮放免者の会」が主催し、非正規滞在の外国人らを支援する弁護士らが運営協力した。新型コロナウイルス感染の拡大を受けオンラインで実施した。

 仮放免は一時的措置で、入管当局の判断で身柄の拘束や強制退去処分をいつ受けるか分からない状態だ。就労はできず、国内移動にも制限が課される。

 今回絵を寄せたのは、フィリピン、インド、ペルー、ガーナ国籍の5家族7人の小学生から高校生。いずれも日本生まれで、国籍を保持する「母国」を訪れたことはない。同級生などはこうした事情を知らないため、プライバシーに配慮して本名以外の名前で紹介された。

フィリピン国籍の高校生レイチェルさんが描いた家族の絆の絵=仮放免者の会提供

 フィリピン国籍の高校生レイチェルさんは笑顔の両親やきょうだいの顔とハートや星を描いて、下に「Happy Family」(幸せな家族)と記した。さらにメッセージでは「家族全員で残りたい。生まれも育ちも日本で。このまま学生時代を過ごしたい」などと述べた。

 妹で小学生のミシェルさんは、虹を背景に並ぶ家族の姿をとらえた。メッセージでは「めいわくをかけたくないです。せっかく日本で生まれたのに中1にもなれずにフィリピンにかえるのはいやです」などと胸の内を明かし、「ビザをください」と訴えた。

「つらくても励ましあう大好きな家族」

 インド国籍のパーミンダさんの作品は、星に結ばれた5人の家族だ。父はシーク教徒の指導者で宗教対立のため両親が日本に逃れてきており、家族で難民申請をしたという。

 パーミンダさんは星によって「どんなにつらいことがあってもお互いに励まし合う強い絆を描きました」と説明し、家族には「大好きだよ」との言葉を贈った。

ガーナ国籍の高校生リアンさんが描いた家族の絵=仮放免者の会提供

 ガーナ国籍の高校生リアンさんは、目の大きさが印象的な両親と3人姉妹の顔を並べた。コメントを寄せた長女の大学生アクアさんは、家族は「かけがえのない存在。これからも皆で力を合わせて笑顔あふれる日々を過ごしていきたい」と書いている。

 ペルー国籍のマリアさんは中学生で、5人の家族の姿とともに「これからも大好きな日本で」と描いた。この言葉に関しては「いろんな気持ちを込めました。私たちの願いはたくさんあって一言では言い表せません」と述べながら、家族皆で日本で暮らしたいとの願いを繰り返した。

 もう一組の出展者はガーナ国籍のチェルシーさん(姉、中学生)とパトリシアさん(妹、小学生)。自分や家族、アニメのキャラクターの絵などを描いた。

「痛み生む社会変えよう」審査の安田さん

 作品は、作家の中島京子さん、フォトジャーナリストの安田菜津紀さん、画家の榎並和春さん、哲学者の永野潤さんが審査した。

 「大賞」にはリアンさんの家族の顔を描いた作品が選ばれた。審査員の中島さんは「見ただけで目を引くインパクトのある絵。子どもたちが両親の特徴をもらっているところがかわいく、家族の絆を感じた」と話した。

 特別賞は、家族の絆を星にたとえたパーミンダさんの作品が獲得した。講評した安田さんは「家族を星にたとえる考えにたどり着いたのは、理不尽に家族が離れなければならない痛みを知っていたからではないか」と指摘。「痛みを感じさせている今の社会の構造を変えなければならないと強く感じた」とも語った。

コロナ禍による経済悪化、支援に悪影響

 この日のイベントには、仮放免を受けているイラン国籍のナギさん、息子で大学生のアミンさんも参加し窮状を訴えた。

 支援者らによると、ナギさんは1992年に来日してオーバーステイとなり2008年以降、3回収容された経験を持つ。新型コロナウイルス感染拡大に伴う景気の悪化で、これまで支援を受けてきた親戚や友人なども収入が減るなどして困難な状態にあるという。「医療費も高額。自腹で、病院に行くのも大変だ」と訴えた。

 アミンさんは4月から大学生だが、高校時代などは父の仮放免延長を巡り「拘束されるのではないか」などと心配し勉強に集中できないこともあった。同級生にも、バイトができなかったり遊びに行けなかったりする本当のことが言えず、「苦しい思いをすることが多かった」という。

「仮放免者に在留特別許可を」支援の弁護士ら

 オンラインイベントの司会を担当し、非正規滞在外国人の苦境に詳しい駒井知会弁護士は、仮放免者の子どもたちについて「日本で生まれ育ち日本語が第1言語で日本の外に出たこともないが、就労できず生活保護も受けられず健康保険にも多くは入れない。それでも一生懸命生きる子どもたちは、日本社会の将来の担い手であり、家族一体で在留特別許可を与えてほしい」と訴えた。

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May 05, 2020 at 07:08PM
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