2020年06月07日12時00分
フランス映画界のヒットメーカーとして「レオン」「フィフス・エレメント」など数々の作品を世に放ったリュック・ベッソン。6月5日公開の映画「ANNA/アナ」は初期の代表作の一つで女性スナイパーが主人公の「ニキータ」の進化版とも言えるアクション映画の快作だ。
米ソが冷戦から雪解けに向かった時代を舞台に、ソ連の諜報(ちょうほう)機関KGBの暗殺者となった女性の運命を描く。血なまぐさい殺りくシーンすらスタイリッシュに見せる“ベッソン節”が随所でさく裂している。
1985年、冷戦さなかのソ連で潜伏中の米国のスパイが摘発され、残酷な方法でその事実が米CIAに知らされる。それから5年後、モスクワの露店でマトリョーシカ人形を売っていた大学生のアナ(サッシャ・ルス)がパリのモデル事務所にスカウトされ、華々しいデビューを飾る。しかし、彼女には隠されたもう一つの顔があった…。
物語は暗殺者としてさまざまなミッションを完遂するアナと、彼女の過去を交錯させながら展開する。軍人だった父と母を幼い頃に事故で亡くし、社会の底辺で生きていたアナは、殺し屋という新たな生き方を与えられながら、その世界から抜け出して自由を得ようとする。
深いドラマ性を持ち得る設定だが、ベッソン監督は過度な感情描写は排して、アクションとサスペンスの描写に全力を注入する。アナが得意とするチェスのゲームのように攻守が目まぐるしく入れ替わる展開で、2時間近い上映時間はあっという間。例によって展開に荒っぽい部分は多々あれど、強引に見せ切ってしまうあたりがベッソン監督の面目躍如と言えるだろう。
アナはすご腕の殺し屋であるとともに恋愛にも積極的な女性で、KGBの捜査官アレクセイ(ルーク・エヴァンス)や敵方であるCIA捜査官レナード(キリアン・マーフィ)の心もとりこにする。恋愛要素が全編に占める割合は少ないが、女性1人と男性2人の奇妙な三角関係はフランス映画が好んで描いてきた恋愛の図式も想起させ、ニヤリとするファンもいるのではないだろうか。
◇魅力的な脇役陣、名女優が抜群の存在感
アナを演じるサッシャ・ルスはロシア出身の人気モデルで、ベッソン監督の前作「ヴァレリアン 千の惑星の救世主」で映画デビューした。今回が初主演作で、表情や演技にはやや硬さもあるが、それが逆に感情を押し殺したアナのキャラクターにぴったりとはまり、クールな雰囲気を醸し出す。
モデルとして活動する場面は、さまざまなファッションに身を包み観客を魅了。ミラ・ジョヴォヴィッチやナタリー・ポートマンなど過去のベッソン映画のヒロインをほうふつとさせる髪形やファッションが楽しい。
さらに特筆すべきはそのアクション。長い手足を生かしたマーシャルアーツや華麗な拳銃さばき、さらには割れた皿を武器として使うなどの独特の趣向も取り入れ、戦うヒロインの魅力を画面全体に押し出した。
脇役陣のキャストも充実している。彼女に翻弄(ほんろう)される東西の捜査官を演じた、ルーク・エヴァンスとキリアン・マーフィは、ともにダンディーな格好良さと男のだらしなさを併せ持つ役柄を好演。今作が映画デビューとなるアナのモデル仲間で恋人役のレラ・アボヴァも強烈な個性を印象付けるが、抜群の存在感で作品を支えるのが英国の名女優ヘレン・ミレンだ。
ミレンが演じるオルガはアナのKGBの上司で、当初はすさんだ過去を持つアナに冷淡な態度を取るが、次第に彼女の実力を認めていく。アナとオルガの微妙な関係も作品の大きな軸となっており、最終的にどう帰結するかはぜひ作品を見て確認してほしい。
KGBの女性スパイを主人公にした作品は、2018年に公開された「レッド・スパロー」(ジェニファー・ローレンス主演)が記憶に新しい。こちらは元CIA局員の原作を基に、ハリウッド的なアクションも交えながらリアルに再現されたスパイ養成のプロセスが印象的だった。劇画調とも言える今作とはタッチはかなり異なり、2作を見比べてみるのも面白いかもしれない(時事通信社編集委員・小菅昭彦)。
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June 07, 2020 at 10:05AM
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