雛鳥の微細な震えを伝える、思春期少女映画の懐の深さ。
『はちどり』
団地住まいの14歳のウニが高校入学を果たすまでの思い煩い、移ろいやすい恋慕の情が、新鋭女性監督の10代の体験に基づき、ドキッとするほどの睦まじさで描かれる。同級生との初キスに、思わず唾をペッと吐いてから微笑みかける。うれしさと違和感。ウニの行いの端々に、はちどりの羽ばたきのような必死さといじらしさが宿る。さらに、1994年ソウル、民主化途上に根深い父権や学歴偏重も目立つ、家庭や社会の窮屈さが迫る。日本の高度成長末期にも通じる身近さで。『パラサイト 半地下の家族』の勢いを継ぐ韓国発の秀作。
『はちどり』
監督・脚本/キム・ボラ
2018年、韓国・アメリカ映画 138分
配給/アニモプロデュース
6月20日(金)より、ユーロスペースほか全国にて公開
https://animoproduce.co.jp/hachidori/
監督・脚本/キム・ボラ
2018年、韓国・アメリカ映画 138分
配給/アニモプロデュース
6月20日(金)より、ユーロスペースほか全国にて公開
https://animoproduce.co.jp/hachidori/
*「フィガロジャポン」2020年6月号より抜粋
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必死さといじらしさが宿る、少女の心を描く韓国の秀作。|特集|Culture|madameFIGARO.jp(フィガロジャポン) - フィガロジャポン
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