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<ふくしまの10年・見えない放射能を描く>(10)リスクだけが残される - 東京新聞


太陽の光さえ奪われて

太陽の光さえ奪われて

 イラストレーターの鈴木邦弘さん(46)はことし三月五日、本連載五回目の作品「ゲートにて」と同じ双葉町との境に近い浪江町酒井地区を再び歩いた。大規模な太陽光発電所(メガソーラー)が建設されることは知っていたが、完成した施設を間近で見ると、その広大さに圧倒された。

 歩いても歩いても道の両側は太陽光パネル。集落の墓地もあるが、その周りもパネルが囲っていた。

 この地区は飛び地のように残る帰還困難区域。建設地は農地だったが、大手リース会社の子会社が発電所を建設。浪江町の復興計画に基づく事業として、二月に商業運転を開始した。一般家庭約一万六千七百世帯分に相当する電力を生む計画だ。全量を東京電力の送配電会社に売電する。

 確かに、出入りもままならない状況では営農再開は厳しい。土地を貸せば農家に賃料が入り、再生可能エネルギーへの貢献にもつながる−。

 鈴木さんはそうした状況を承知しているが、農地を覆い尽くす太陽光パネルは、かなり違う存在に映るという。

 「事故前は、首都圏が原発のリスクを福島に押しつけて電気を搾取。事故後は放射能汚染で住む場所を奪い、土地と太陽の光までも搾取する。事故の前も後もシステムは変わっていないのではないか」 =おわり

 (山川剛史が担当しました)

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