本作は、物語の舞台であるアルジェリアに17歳まで暮らし、この映画が長編映画監督デビュー作となるムニア・メドゥール自身の経験から生まれた物語。アルジェリアで1991年に始まった内戦、いわゆる“暗黒の10年”を舞台に、イスラム原理主義による女性弾圧の真実を、ファッションデザイナーを夢見る少女の視点で瑞々しく描く。
タイトルの「パピチャ」とは、アルジェリアのスラングで“愉快で魅力的で常識にとらわれない自由な女性”という意味を持ち、ファッションデザインを通じて容赦のない祖国の現実と向き合うことになる主人公を、アルジェリア出身の新進女優のリナ・クードリが「パピチャ」を体現する。
第72回カンヌ国際映画祭ある視点部門では、全編にほとばしるそのエネルギーで世界を圧倒。媚びず、流されず、自らのために立ち向かう女性たちの力強さは観客に勇気を与え、性差による抑圧に対する解放の賛辞だとして話題を呼んだ。しかし、昨年12月、大統領選を控え政治情勢が不安定となっていた本国アルジェリアでは、9月に予定されていた先行上映が当局によって説明なしに中止され、さらに世界がコロナ禍に見舞われる直前の2020年3月時点でも未だ公開には至っていない。
第92回アカデミー賞国際長編映画賞へのエントリー要件(同年9月30日までに本国での上映が必要)を満たさないとして代表選出を危ぶまれたが、製作陣が政府からの圧力があったことを訴え、最終的に特例措置でアルジェリア代表作品として認められ、選考に進むことが許可された。さらに、“フランスのアカデミー賞”第45回セザール賞では新人監督賞を受賞するなど、世界各地で高く評価されている。
メドゥール監督は本作に寄せ、「この映画が、女性たちの心の扉を開き、声を上げるきっかけになることを願ってやまない」とコメント。真の自由と解放を求め、“自分らしく”を掴み取るため立ち向かう女性たちの闘いは、いま、この瞬間も続いている。
解禁となった予告編は、大学寮の門限を破ってナイトクラブに繰り出し、仲間たちのドレスの注文を受ける主人公ネジュマの生き生きとした姿から幕を開ける。
しかし、街にイスラム原理主義がはびこる中で、“女の正しい服装”としてヒジャブの強制や外国語教育に対する弾圧が加速。ボーイフレンドからはともに国外脱出をしようと促されるが、祖国を愛するネジュマは「ここには私の全部がある」と譲らなかった。そんなネジュマをある悲劇が襲い、準備に向けて動き出したファッションショーも中止に追い込まれ…。深く傷つきながらも、自分たちの自由と未来のために闘おうとするネジュマと仲間たちの行く末が気になる映像となった。
また、ポスタービジュアルではネジュマが仲間たちと海辺で肩を寄せ合う姿を捉え、それぞれの前向きなエネルギーを感じさせる表情が印象的。少女たちの、決して諦めることのない“渇望”を感じることができるものとなっている。
『パピチャ 未来へのランウェイ』は10月30日(金)よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開。
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July 07, 2020 at 10:00AM
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