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「浜乃娘」の唇に紅、戦死覚悟し妹描く 蒲郡の道下さん、兄の遺品展示 - 中日新聞

戦死した兄の正治さんが描いた肖像画を手にする道下利雄さん=蒲郡市三谷町九舗で

戦死した兄の正治さんが描いた肖像画を手にする道下利雄さん=蒲郡市三谷町九舗で

  • 戦死した兄の正治さんが描いた肖像画を手にする道下利雄さん=蒲郡市三谷町九舗で

 蒲郡市博物館で三十日まで開催中の企画展「あの日 あの戦争」で、同市三谷町九舗の道下利雄さん(86)が提供した戦没者の兄の遺品が展示されている。一九四四年にマリアナ諸島方面で戦死する前、中国大陸で従軍中に故郷の妹を思って描いたとみられる肖像画。若くして死を覚悟せざるを得なかった中、家族に思いをはせた兵士の心情がうかがえる。 (木下大資)

 布の切れ端に、和服でほほ笑む若い女性が描かれ、右上に「浜乃娘」と記されている。唇や衣服の一部は赤く着色してあり、利雄さんは「見事に描いてある。(戦地へ向かう前の)納めという腹づもりだったと思う」と語る。

 兄の正治(まさじ)さんは二一(大正十)年生まれ。四〇年に志願して豊橋の陸軍歩兵第一八連隊に入り、中国へ出征した。四四年二月、行き先を知らされないまま移動を命じられて南方へ。途中、輸送船が敵の潜水艦の攻撃で沈没しながらも、味方の駆逐艦に救助されてサイパンへ上陸。米軍との激戦の末、九月三十日に戦死した。二十三歳だった。

 形見の品となった肖像画は、第一八連隊が旧満州に駐屯していた四三年ごろ正治さん自身が三谷町の...

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