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最低賃金、過去最高の31円引き上げ…急激な物価高対応で全国平均961円に - 読売新聞オンライン

 今年度の最低賃金(時給)の目安を決める中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会は1日夜、引き上げ額の目安を全国平均で31円と決めた。急激に進む物価高を背景に引き上げ幅は28円だった昨年度を上回り、過去最高額を更新。上昇率も3・3%で過去最大となった。目安通りに改定されれば最低賃金の全国平均は961円(現在は930円)となる。東京都、神奈川県に次いで、大阪府で初めて1000円台に到達する。

 最低賃金は2016年度以降、新型コロナウイルス感染拡大による経済停滞で上昇率が0・1%にとどまった20年度を除き、政府方針に沿って3%程度引き上げられてきた。これまでは16年度が3・1%で過去最大だったが、今年度はそれを上回った。

 小委員会は、各地の経済状況や物価を踏まえ、都道府県をA(東京、神奈川、大阪など6都府県)、B(茨城、静岡、兵庫など11府県)、C(北海道、徳島、福岡など14道県)、D(青森、愛媛、鹿児島など16県)の4グループに分けて目安を提示。今回はA、Bを各31円、C、Dを各30円の引き上げとした。

 今年度は、ロシアのウクライナ侵略に伴う物価高や急激な円安などで労働者の生活が 逼迫ひっぱく していることを背景に、労使とも最低賃金を引き上げる方向で認識が一致していた。だが、労働者側が大幅な引き上げを求めたのに対し、使用者側は原材料高による収益圧迫などを理由として上げ幅の抑制を主張。労使双方の代表と公益委員(学識者)による協議が7月25日まで計4回行われたが、目安が示されない異例の事態となっていた。

 厚労省や公益委員によると、1日午後に開かれた5回目の協議では、公益委員が引き上げの基準として「3・3%」を提示。労働者側は「最低賃金が最も低い県でも、時給950円を上回らなければ単身者でも生活ができない」として全体の引き上げを求める声が出た。使用者側からは近年の大幅な引き上げについて「中小企業の経営実態を十分に考慮していない」との苦言が呈される場面もあったという。協議は夜間まで続けられ、最終的に労使双方が公益委員の提示に沿って折り合う形となった。

 最低賃金(時給)の引き上げ額の目安が全国平均31円と決まったことについて、日本商工会議所の三村明夫会頭は2日、「物価、賃上げの動向、企業の経営状況に関する客観的なデータに基づく真摯な議論がなされた」と一定の評価をするコメントを発表した。

 ただ、引き上げ額は過去最高となり、三村氏は「消費者の生計費に対する足元の物価上昇の影響を強く考慮する一方、企業の支払い能力の厳しい現状については十分反映されたとは言い難い」と指摘した。

  ◆最低賃金 =労働者の生活安定のため、中央の審議会が示した目安をもとに、都道府県ごとに毎年決められる賃金の下限額。雇用形態にかかわらず全労働者に適用され、違反した使用者には最低賃金法に基づき50万円以下の罰金が科される。法令に基づく異議申し出や官報公示などを経て、例年10月に新しい最低賃金が適用される。

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