フクビ化学は、樹脂の「異形押出成形技術」という高度な専門技術を有し、付加価値の高い建築資材や産業資材などを開発生産してきた。地元福井への貢献を旗印に、次世代を担う若手とともに「100年企業」を目指すためのビジョンを描く。
(聞き手/吉田真士・福井新聞社代表取締役社長)
高付加価値を独自技術で実現。
吉田 幅広い製品を手掛ける御社のコアとなる技術とは?
八木 プラスチックつまり樹脂の異形押出成形技術で、複雑な形状のものを安定した品質で均一に押し出しながら成形することを得意としています。押出成形以外にも、特殊なコーティング材によって光の反射を低減させた車両やモニター用のパネル製品も高い評価を得ており、国内外メーカーの車両に用いられています。
吉田 新素材の開発もどんどん進んでいますね。
八木 炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の開発に力を入れており、まずは社会的な問題となっている橋の補修を想定した実証実験を進め、実用化を目指しています。また高性能断熱材「フェノバボード」の開発は、近年ますます高まる省エネや環境課題に応えるものです。低反射パネルと合わせ、その2つの素材は成長分野と見込んでいます。
吉田 時代の変化と求めに、御社の技術力がマッチしている。
八木 組織体制を変え、新たに営業支援センターを創設しました。営業職の事務負担を軽減し、エンジニアリングセールスに注力することで、より価値のある製品を提案していきます。今後社会が変われば、暮らしに求められる機能も変化していきますが、技術力でそれらに応え、さらに生活の基盤に関わる高付加価値な製品を提供していきます。
「福井には関西圏や中京圏に近いという利点がある。周囲の技術がこの地に集結すれば、非常におもしろい。都市圏の技術者を呼び込む魅力になるかもしれない」と八木社長。
今ある資源を活かし、地元福井に恩返し。
吉田 福井に関係する製品の開発にも積極的ですね。
八木 坂井森林組合が提供する間伐材で開発した人工木材「プラスッド」は、森林組合ならではの木材への深い見識が活かされ、高い耐久性と自己消火性を持たせました。昨年には越前和紙を用いた内装用の化粧板「越柊」も発売しました。建材としての和紙の需要は多かったのですが、耐火性の低さや壁に貼る作業の難しさが課題でした。越柊は和紙の風合いを残しつつ特殊なコーティング処理で不燃性を付加。施工も簡単で、ホテルや公共施設などの需要を見込んでいます。開発には大判の和紙を作る職人の技術なしには不可能でした。福井にはそういった優れた知見や技がまだまだ眠っている。それこそがビジネスチャンスなのです。
吉田 御社の技術は様々な分野とコラボレーションが可能で、いろいろな悩みの解決に活かせるというわけですね?
八木 福井で育った企業として、「福井に恩返しがしたい」という思いを忘れたことはありません。これまでの福井を形作ってきた伝統工芸などは、その技だけの勝負では、今後厳しい状況を迎えるかもしれない。しかし、例えば漆器の技術などを化学的に分析すれば、新しい製品開発に応用できる可能性があります。われわれが持つ技術と組み合わせて高機能な製品を生み出し、伝統的な産業を持続可能な形にするのも、恩返しのひとつの在り方だと考えています。
若手社員と目指す30年後のビジョン。
吉田 優れた製品を生み出す秘訣を教えてください。
八木 社員の「これを研究したい」という思いを常に尊重します。比較的自由な研究の風土があり、全社員数の約1割が開発を担うなど開発業務に資源の多くを振り分けています。例えば越柊では、10年近くにわたる研究が実を結び、和紙の質感を維持できるコーティング剤を開発しました。現在は、ニーズに機敏に応じる「変種変量」の生産体制が求められ、それにかなう新たな技術の開発に向け、人的投資を惜しみません。
吉田 そうしたものづくりの姿勢は、新しい中期経営計画でも強調されているのですか。
八木 これまでの中計では、「100年企業」を掲げ、人材育成や生産合理化などの改革に取り組んできました。新年度の4月から始まる第6次中計は、若手社員が中心となって策定し、より未来を意識した内容となっています。私自身が働いてきて、30年という時間の短さを体感しています。当社が100周年を迎えるのは、たった33年後。その時、フクビのかじ取りを担うのは今の若手です。次の世代の社会を見据えて行動できる人物に育てるには、今のうちから彼らに呼びかけ、心構えと準備を始めてもらわなければ。
吉田 会社を支える基盤は、やはり常に人なのですね。
八木 新たな技術を生み出すのも、会社を背負うのも、人にしかできない。父である先代社長から受け継いだフクビの企業理念と福井への強い思いを、特に若手社員に自分事として捉えてほしい。技術を基に新しい価値を創造し地域と社会を支える。そして社員がやりがいと幸せを感じながら働ける。未来を担う彼らと一緒に描くビジョンこそが、これからのフクビのあるべき姿だと考えます。
本社/福井市三十八社町33-66
TEL.0776-38-8001
www.fukuvi.co.jp
創業/昭和28年5月25日
従業員数/950人(連結)
事業内容/建築資材の製造・販売(住宅用内装材・外装装飾部材、集合住宅用床システムなど)、樹脂製産業資材の製造・販売、精密加工品の製造・販売(反射防止等の機能性精密樹脂製品など)
vol.1 清川メッキ工業株式会社 代表取締役社長 清川 肇氏▶
vol.2 株式会社 タッセイ 代表取締役社長 田中 陽介氏▶
vol.4 株式会社 SHINDO 代表取締役社長 深町 忠則氏▶
vol.5 ユニフォームネクスト 株式会社 代表取締役 横井 康孝氏▶
vol.6 敦賀海陸運輸 株式会社 代表取締役社長 有馬 茂人氏▶
vol.7 武生特殊鋼材 株式会社 代表取締役社長 河野 通郎氏▶
vol.8 三津井証券 株式会社 代表取締役社長 山野井 秀一氏▶
vol.9 株式会社 日本ピーエス 代表取締役社長 有馬 浩史氏氏▶
vol.10 株式会社 ジャクエツ 代表取締役社長 CEO 徳本 達郎氏▶
vol.11 株式会社 福井銀行 代表執行役頭取 林 正博氏▶
vol.12 株式会社 北陸銀行 代表取締役頭取 庵 栄伸氏▶
vol.13 株式会社 福井村田製作所 代表取締役社長 中川 忠洋氏▶
vol.15 フクビ化学工業 株式会社 代表取締役社長 八木 誠一郎氏▶
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March 06, 2020 at 10:00PM
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