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水墨画ブームくるか 人気青春小説「線は、僕を描く」 異例の「マガジン」連載も(産経新聞) - Yahoo!ニュース

 水墨画をテーマにした青春小説「線は、僕を描く」(講談社)が4月発表の本屋大賞候補作に選ばれた。喪失感を抱える若者が水墨画と出会い、生きることの意味を見いだしていく姿を描いた同作。「完璧な絵があるとすれば、それは画仙紙の白です。でも、そこに絵を描いていくのが人間だし、それがある意味で生きることでもある。真っ白な状態から何かを始める人を書きたかった」。作者の水墨画家、砥上裕將(とがみ・ひろまさ)さん(35)はこう語る。

 無名の大学生がささいなきっかけで水墨画と出会い、隠れた才能をその道の大家から見そめられる。絵に描いたようなシンデレラストーリーだが、セリフ回しや壁にぶつかった際の心理描写など、随所に強い説得力が伴う。それはやはり、自身の経験に裏打ちされているからだろう。

 「例えば(作中の)『勇気がないと線なんて引けない』というセリフ。これは水墨画を描くうえで実際に感じています。完成度が上がるほど次の作品が怖くなるし、打ち破るのには勇気が必要です」

 バラを見る際、普通の人は単に「きれいな花だな」と思う。だが、水墨画家は花に加え、蔓(つる)の柔らかさや巻き方、棘(とげ)も見ており、だからこそバラの持つ動きや生命感を描き出せる。作中の主人公と同様、「視野の広がり」を読み手が感じられる作品だ。繊細な筆致に惚(ほ)れ込んだ読者や書店員も多い。

 20歳ごろに小説を書き始めたが挫折。偶然目にした揮毫(きごう)会で水墨画と出会い、水墨画家の道を歩み出した。30代で執筆を再開。本作で講談社の文学新人賞「メフィスト賞」を受賞し、作家デビューを果たした。昨年6月の単行本刊行に先立ち、週刊少年マガジンで漫画版が連載されるという異例の展開を見せ、今年2月に完結した。

 自身の歩みとも重なる部分のある同作だが、長年温めていた一作…ではなかったようだ。当初は水墨画に興味が持たれるとは思わず、身近さゆえに書く気もなかったという。「ファンタジーなど5案ほど出して、数合わせで(編集者に)案出ししたものでした」と明かす。

 競技かるたを扱った「ちはやふる」、薙刀(なぎなた)の「あさひなぐ」、筝(こと)の「この音とまれ!」…。近年、従来少なかった日本文化をテーマにした漫画が増えている。水墨画がテーマの今作もその一環といえる。

 「スマートフォンを寝る前まで見てしまうなど、人間にとって現代社会はある意味で不自然な環境に陥っている。一方、伝統芸能はある種の自然さ、リアリティーを保っている。それが今の人にも魅力的に映るし、現代にも通用する知恵を蓄積の中から再発見しているのでは」

 水墨画家としての目標は「一作一作、気合の入った仕事をすること」。作家としての目標も同じだ。「いろいろ吸収しながら前に進み、読者にお付き合いいただける作品を書いていきたいです」(本間英士)

 ■作品のあらすじ

 両親の死をきっかけに喪失感から立ち直れずにいた大学生の青山霜介は、ある日偶然出会った水墨画の巨匠・篠田湖山に突然弟子にされてしまう。最初は水墨画に興味を持てなかった霜介だったが、湖山の孫娘・千瑛らとの交流を経て、じょじょに水墨画の世界に魅了されていく。

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March 20, 2020 at 11:30AM
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