女優の竹内結子さん(40)が東京都内の自宅で死亡していたことが27日、分かった。自殺とみられる。
竹内さんは96年に女優デビュー後、99年のNHK連続テレビ小説「あすか」でヒロインを務めブレークした。19歳だった当時、竹内さんは日刊スポーツの紙面インタビュー「日曜日のヒロイン」の取材に応じ、3度目の朝ドラオーディションを受けて主役を射止めた喜びを語った。
同時に「「人のことをあまりうらやましいとも思わないし、売れたい願望もそんなにないような気がします。自分が売れて、仕事の幅が広がることはすごく魅力的なことですが、囲まれるのは苦手なんです。仕事以外では普通の生活をしたい」と、自分を冷静に見つめる視点も持ち合わせていた。
以下は1999年12月19日掲載のインタビュー「日曜日のヒロイン」全文。
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ユーモラスな雰囲気も兼ね備えた「朝ドラヒロイン」は、久々の大物を予感させる。NHK朝の連続テレビ小説「あすか」に主演している女優竹内結子(ゆうこ=19)。過去に朝ドラのオーディションを2度落選し、3度目の「あすか」でヒロインの座を射止めた。さわやかな笑顔の裏には、負けず嫌いの一面もあるようだ。
子役からバトンを受けて「あすか」に出演して約1カ月。街を歩いていると「あすかちゃん」と声を掛けられるようになった。 「声を掛けられて、うれしいような複雑な気持ちですね。心の準備もなく歩いているので、動揺してしまいます。ドラマを見ている人にとっては、私はあすかなんですよね。歩いているのは竹内結子なんですけどね」。あらためて朝ドラの反響の大きさに驚いている。
朝ドラのオーディションを受けたのは「あすか」で3回目だった。過去に「やんちゃくれ」「すずらん」のオーディションを受け、いずれも1次選考で涙をのんだ。「三度目の正直」でヒロインの座を射止め、制作発表では「いつか朝ドラに出演したいと思っていました。やっと念願がかないました」と取材陣を前に目に涙を浮かべて喜んだ。
「最初の2回は第1段階でアウト。でも、受けるだけで価値はあったと思うんです。悔しさですか? うーん、そうですね。オーディション現場には、テレビとかでよく顔を見る人がいますし、宝塚歌劇団の方もいましたし……。今回は、1次、2次と受かって、3次テストでは微妙な緊張感が生まれるんですよ。ここまできたら、今までと同じようにはあきらめられないなとか、いろいろな思いが頭をよぎりました。それはもう、独特の雰囲気でしたね」。
高校入学直前の春休みにスカウトされて芸能界に入った。「原宿のラフォーレで声を掛けられました。いわゆる芸能界の王道っていうんですか(笑い)」。現在の事務所に所属後、モデルとして明治製菓やサントリー、任天堂などのCMに起用され、民放ドラマにも出演した。デビュー当時から朝ドラ出演は大きな夢だった。
「モデル時代はCMのオーディションを受けるのはいつものことでしたし、受からないことはよくありました。そんなときは『企画に自分が合わなかっただけだ』と思うようにしていました。落ち込むことはあるけど、逆に受かったときは自分を必要としてくれているわけですから、すごくうれしくなるし。現場を大切にしたくなるから、自分にとっては落ちるのもいい経験だと思うんです」。ひたむきに和菓子職人を目指すあすかのように、竹内も朝ドラ出演を目指してきた。
ドラマは京都のしにせ和菓子店が舞台で、劇中で竹内が使うのは京都弁だ。埼玉生まれの埼玉育ち。京都弁のセリフをしゃべるために、方言指導の先生が吹き込んだテープを肌身離さず持ち歩いている。ブラウン管からもひたむきさ、そしてユーモラスな雰囲気が伝わってくる。
「イントネーションを確認しながら、覚えています。京都弁は語尾がすごく優しいんです。関東だったら『なにーっ』というようなグサッとくるような言葉でも、京都弁だと『なんえー』と優しくなるのがいいですね。でも、このイントネーションが難しいんですよ。関西弁は滑舌(かつぜつ)がよすぎるのも、よくないらしいですね。私はあまり滑舌がよくないので、ちょうどいいみたいなんです」。
「あすか」はNHK大阪放送局制作。そのため竹内も大阪暮らしが続いている。週5日収録のハードスケジュールで、大阪名物のたこ焼きも5カ月目にして、差し入れで初めて口にしたという。
「なかなか大阪の雰囲気を味わえないんですけど、人がすごく親切なんです。道を聞くと、丁寧に教えてくれます。買い物で探しているものが店になくても、ほかの店を紹介してくれたり、電話をかけて調べてくれたり。サービス精神がありますね」。
埼玉では3姉妹の末っ子として育った。「長女はそれらしくしっかり者で、二女は自分の好きなことをやっている楽天家なんです。私ですか? もう、おてんばな、おサルでした」。子供のころは、男の子とのケンカも絶えなかった。それが中学入学後には一変したという。「男の子って急に背が高くなるでしょ。何かあれーって感じで、ひゅーっと引く感じで、急におとなしい女の子になってしまいました。負けず嫌いな面はありますけど、肉体派はやめました(笑い)」。
おてんばだった性格が、いつしか引っ込み思案になった。「高校時代も彼氏をつくらなきゃと思ったこともありません。もてたこともないし。仲がいい男の子はいますけど、付き合いのない子とは本当に何も話さなかった」。好みのタイプは? 「そうですねえ。第一印象が大切かな。何か魅力がある人。私が引っ込み思案なので、話のきっかけをつくってくれ、場をやわらげてくれる人がいいですね」。
ドラマ収録中も、現場の雰囲気に押されてセリフがうまく出てこないこともある。インタビューも苦手だという。「頭の中ではうまくしゃべったり、気持ちを出しているのに、収録の現場では思ったように出てこないことがあるんです。人に慣れるまでが大変なんですね。気持ちをこめて、人と付き合うのに時間がかかるんです」。
現在の“親友”は「あすか」で共演している佐藤仁美(20)。「一緒にご飯を食べたり、台本読みを付き合ってもらったり。仁美ちゃんにはマフラーを編んでもらいました」と笑顔を見せた。趣味はデパート地下の総菜売り場をのぞくこと。「ざわざわと、にぎやかで心が楽しくなるんです」。
次の目標考え中 自ら演じている、あすかのキャラクターについては「前向きで、まっすぐで、すがすがしい。本当にあすかはいい子だなあって思います。あそこまで、まっすぐに正直だといいなって思ってしまいます」。
そんなあすかも、これからの放送では、少しずつ変わっていく。あこがれの菓子職人になった後、菓子の販売の方に次第に興味を示すようになる。「あすかも年をとるごとに、ちょっとひねくれてくるんです。すねたり、意地悪になったり。見ていて、切なくなりますよ。あんなにいい子だったのに。年齢でいうと(現在収録中の設定は)25、26歳なんですけどね。大人になったというか、やっぱり昔のままではいられないんでしょうね」。自ら演じているキャラクターというよりも、まるで身近にいる友達のように語る。
「あすかを演じている私は、あすかを保護者のような気持ちでそばで見ているんです。彼女がまっすぐなときは、見ているこっちも気持ちがいいんですが(あすかが)すねたりすると、無意識のうちに私がいい子に引きずり戻したくなってしまうんです」と笑った。
目標だった朝ドラにも出演し、次の目標は模索中。「人のことをあまりうらやましいとも思わないし、売れたい願望もそんなにないような気がします。自分が売れて、仕事の幅が広がることはすごく魅力的なことですが、囲まれるのは苦手なんです。仕事以外では普通の生活をしたい」。
来年1月に成人式を迎える。昨年主演した映画「イノセント・ワールド」の下山天監督に、成長した自分を見せたいという。「撮影の時は、監督に手とり足とり演技指導を受けたんです。だから、ちょっとは成長したところを見てもらいたいんです。成人するんですから、甘えも許されませんからね」。
インタビューした印象は、感受性の強いちょっと内気なごく普通の少女。この時代にあっては、それがとても新鮮に思える。芸能界にあってはなおさらだ。ブラウン管からにじみ出る、透明感、さわやかさの理由も、そのあたりにあるのかもしれない。
◆竹内結子(たけうち・ゆうこ)
本名同じ。1980年(昭55)4月1日、埼玉県生まれ。東京・原宿でスカウトされ、95年(平7)、大蔵省「国有宅地」のCMでデビュー。96年、フジテレビのドラマ「新・木曜の怪談」で女優デビューした。映画「イノセント・ワールド」「リング」、ドラマ「ロマンス」「いいひと。」に出演。日本テレビ「あぶない刑事フォーエヴァーTVスペシャル’98」ではヒロインを演じた。趣味は料理、読書。特技は耳を動かせること。162センチ。B80-W60-H82センチ。
(1999年12月19日掲載=ニッカンスポーツ・コム「日曜日のヒロイン」)
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