羽田空港で日本航空(JAL)機と海上保安庁の航空機が衝突、炎上した事故で、両機と管制の3者それぞれに事故につながる要因が指摘されている。9日で事故から1週間。原因解明は長期化しそうだ。
「航空業界のイロハのイ」 なぜ守られなかった
今回の事故の主な当事者はJAL機と海保機、管制官だ。滑走路に二つの機体がいてはいけないという「航空業界のイロハのイ」はなぜ守られなかったのか。その解明が最大の焦点となっている。
海保機の機長は事故後、海保の聞き取りに対し「進入許可が出ていたと認識していた」と話しているという。
一方で管制官との交信記録には「(出発機)1番目。C5上の滑走路(手前の)停止位置まで地上走行してください」という指示しかなく、進入を許可したやり取りは確認されなかった。
着陸してきたJAL機はどうだったか。操縦席には3人のパイロットがいた。JALの聞き取りに対し、3人とも「海保機について視認できなかった」という趣旨のことを話しているという。
左席に機長、右席に副操縦士、オブザーブシートに3人目がいた。この日のフライトは右席の副操縦士の社内審査にむけた訓練も兼ねており、後方に座る有資格者のパイロットが、右席の副操縦士の業務を確認していたという。
事故機となったエアバスA350型機の機体は2021年に導入され、コックピットの操縦席の正面には飛行高度や速度などが表示される「ヘッド・アップ・ディスプレー(HUD)」が装備されていた。通常、パイロットは外を見渡しながら、モニターの表示を見て操縦するという。
航空法は、航空機の操縦者は、他の航空機と衝突しないように見張りをしなければならないと定めている。国の運輸安全委員会はコックピット内の会話が録音された両機のボイスレコーダーを回収しており、今後、当時の状況を詳しく調べる。
管制官、画面に気づかなかった可能性
これまでのインシデントや航…
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