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パリ郊外に生きる現代の“哀れな人々”描く「レ・ミゼラブル」シンポジウム開催(イベントレポート) - ナタリー

フランス映画「レ・ミゼラブル」のシンポジウム付き特別試写会が、2月11日に東京・アキバシアターで行われ、社会学者の森千香子、ライターの望月優大、フォトジャーナリストの安田菜津紀が登壇した。

第72回カンヌ国際映画祭審査員賞に輝いた本作は、パリ郊外のモンフェルメイユを舞台にした作品。同地はヴィクトル・ユゴーの小説「レ・ミゼラブル」にも登場しており、森は「舞台はコゼットがこき使われる安宿のあった場所。この映画は、ユゴーが描いた19世紀から現在がどう変化したのか、またはしていないのかを描いています」とタイトルの意図を説明する。さらに「“レ・ミゼラブル”とは哀れな人々、貧しい人々という意味ですが、移民社会を描きながら、フランスの19世紀から脈々と続いている伝統を映し出した素晴らしい映画だと思います」と称賛した。

監督を務めたのは、モンフェルメイユで育ち、現在もこの地に暮らす新鋭ラジ・リだ。彼は実体験をもとに、犯罪防止班に配属された警官ステファンの視点を通して、取り返しのつかない事態に陥っていく貧困層の人々の姿を描いている。望月は「監督がこの街で暮らしているということが1つの特徴。フランス以外から来た人たちが本質的に危険で、劣っていて、ずっと貧しくあってしかるべきという描き方をしていない」「なぜあのような結末になってしまうのか。なぜほかの落とし前が付けられなかったのか。そこがきちんと描かれてます」とラジ・リの手腕を評価した。

紛争の続く中東のシリアやイラクで取材活動を行っている安田は「そこから難民としてヨーロッパに渡った人たちがいる。一方でフランスからイスラム国に参加した女性たちに取材したことがあります。私は、なぜそういう行き来があるのかをつかめずにいました。この映画がすべてとは言いませんが、何にせめぎ合い、どんな葛藤があって彼女たち、彼らがそうしたのか。抱えていた何か、その一端をこの映画で観られたような気がしました」と映画が描くフランスの現状と問題点を指摘した。

「レ・ミゼラブル」は2月28日から東京・新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国でロードショー。

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February 12, 2020 at 07:02PM
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