
「ビジョン(ありたい姿)」とは
早稲田大学マニフェスト研究所人材マネジメント部会のプログラムで、参加者に組織の現状を確認してもらった後に取り組んでもらうことは、組織の「ビジョン(ありたい姿)」を描いてもらうことである。ビジョンとは、自分が心から願う状態を具体的にありありと描いたものである。政治家の示す「マニフェスト」もある意味ビジョンである。
ビジョンは「ありたい姿」であり、「あるべき姿」ではない。「あるべき姿」は、問題を特定、原因を分析して何か足りないものを埋める消極的なイメージである。それに対して、「ありたい姿」とは、強みや価値を発見して理想の方向へ進んでいく積極的なイメージである。
ビジョンに必要な要素として、次の3つが挙げられる。なぜ、何を目指して、個人、組織は存在するのかと言った「有意義な目的」。何を大切にし、何を基準に行動するかの「明確な基準」。そして、はっきりと思い描ける最終結果としての「未来のイメージ」の3つである。
ビジョンは明確であればあるだけ、我々人間の行動を突き動かす大きな力をもっている。アメリカの公民権運動の指導者であるキング牧師の「I Have a Dream」の演説で語られた情景は、正にそれを聞いた人がその状態を頭の中に思い描き、その実現に行動したくなる素晴らしいビジョンである。良いビジョンは希望を与え、変化を創り出し、人を勇気付け、新しい行動を促す。
「バックキャスティング」で組織と地域の「ビジョン」を描く
ビジョンを描くのは簡単ではない。ビジョンとして捉えがちなものとして、「未来の予測」「現状の裏返し」「手段」の3つが挙げられる。「未来の予測」とは現状に引っ張られたものだ。これではワクワクする気持ちが起きない。「現状の裏返し」は、現状の課題が解決した状態で、現実からの逃避に主眼が置かれている場合が多い。また、ビジョン実現のための「手段」をビジョンに取り違えてしまうこともある。「対話が活発な組織」などはビジョンを手段に取り違えた典型である。
実現したい未来の状態を考えるには2つのやり方がある。一つは「フォアキャスティング」。もう一つは「バックキャスティング」である。「フォアキャスティング」とは、直訳すると「前を見通す」という意味で、現状から出発して、将来どのようになっていそうか、いるべきかを考える方法である。部会ではこのことを「事実前提」と言う。未来を考える上で、過去の事実からだけでは判断できないことは多い。
それに対して、「バックキャスティング」とは、将来どうなっていたいかといったありたい姿を先に考え、そこから今に遡って考えて、何をするべきかを考える方法だ。部会ではこのことを「価値前提」と言う。現状に引っ張られて、その延長線上を考えるのでなく、現状をいったん脇に置いて、自分の想いや価値観に基づいて、純粋にこうありたいというイメージを膨らましていくのが「バックキャスティング」である。「私たちの組織は何を実現したいのか」「地域はどうありたいのか」。組織と地域の成り行きの未来ではなく、「バックキャスティング」で、望ましい、実現したい未来のビジョンを描きたい。
2015年に国連で採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」においても、アプローチ方法としては、「バックキャスティング」が推奨されている。今の地域の状況を一旦横に置いて、SDGsのゴールである2030年の地域の未来の絵を描いた上で、その実現のために各自で、皆でできること、やるべきことを考え、実行する。長期の視点を持つと、今やるべきことがはっきりして、困難な目標を達成できる可能性が広がる。
【関連記事】
"描く" - Google ニュース
March 12, 2020 at 09:51AM
https://ift.tt/2W84auq
「バックキャスティング」で組織と地域の「ビジョン」を描く~早大マニフェスト研究所人材マネジメント部会が目指すもの(6)(政治山) - Yahoo!ニュース
"描く" - Google ニュース
https://ift.tt/2q5JR3l
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update
Bagikan Berita Ini
0 Response to "「バックキャスティング」で組織と地域の「ビジョン」を描く~早大マニフェスト研究所人材マネジメント部会が目指すもの(6)(政治山) - Yahoo!ニュース"
Post a Comment