女性客の支払い能力を超えた料金を請求して借金を負わせ、売春や性風俗店勤務を強いる悪質ホストクラブの問題を受け、対策を盛り込んだ法案が今国会に提出される見通しとなった。売春防止法や消費者契約法など現行法の運用徹底に加えて教育や啓発、実態調査を通じた被害防止を目指し、立憲民主党が取りまとめている。悪質ホストについては政府も「問題だ」との見解を示している。
20日の衆院本会議、岸田文雄首相は野党の質問に答える形で「ホストクラブの利用客が借金返済のために売春をする事例があるのは承知している。対策を行っていく」と発言した。24日の衆院予算委員会でも、同様に「取り締まりや相談体制の強化といった対策を取っていく」と述べた。
問題を提起してきたのは、当事者やその家族らだ。
西日本に住む60代の女性の親族の女性(19)は3月、地元のホストクラブへ通い出した。まだ18歳の高校生だった。親族の女性は間もなくホストから紹介された性風俗店で働き始め、5月になると家に帰らなくなった。
あっという間で、女性は「介入する余地もなかった」と振り返る。10年以上前から、娘のように育ててきた。警察署、弁護士、県や市の窓口、児童相談所。相談した全ての機関から「18歳以上は成人なのでどうにもできない」と言われた。「借金を負わせ、返済のために風俗店を紹介する。こんなのビジネスじゃない。犯罪ですよね」
11月中旬、女性は立憲が開いた会合にオンラインで参加し、こうした思いを訴えた。立憲はヒアリングを重ね、我が子のホスト通いに悩む保護者や、ホストから高額な料金を請求された当事者の声を集めてきた。
ヒアリングに同席した警察庁や厚生労働省の担当者は「あくまで個別の判断」としつつも、悪質な手口には売春防止法や職業安定法違反の疑いがあると指摘。消費者庁の担当者も、恋愛感情を利用した「デート商法」に当たれば消費者契約法に基づく契約取り消しができる可能性に言及した。
提出される法案は通称を「悪質ホストクラブ被害対策推進法案」とし、対象を「遊興や飲食による高額の債務」と明示する。大半のホストクラブで認められている売り掛け(ツケ)払いを念頭に、相談・支援体制の拡充▽実態調査の実施▽啓発や教育の推進――などを盛り込む。いずれも現行法の範囲での取り組みを進めたうえで、施行1年後の状況を踏まえ、新たな措置を検討するとしている。
当事者や支援団体の間には「高額な借金につながる売り掛けの規制が必要だ」という声も根強い。ただ、検討開始から3週間余りでの提出に向け、法案は「実効的な規制を設けるのは時間的に難しく、法整備を通じてこの問題を国や社会に認知してもらう」(立憲関係者)ことを優先した。
「私のように苦しむ人は全国に何万人といると思う。政治には、安心して暮らせる社会のためと思って取り組んでほしい」。ホストに入れ込んだ娘に悩むある母親は、そう訴えている。【春増翔太】
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