八ヶ岳の中腹、長野県は野辺山でラファが開催しているレースイベント「スーパークロス野辺山」も今回で10回目を迎えた。シクロクロスに加えて、新設された「グラベルチャレンジ」によって、これからの「NOBEYAMA」はどう変わっていくのか。ラファが新たにリリースしたディープウィンターアイテムをまとい、本誌・江里口が両レースを実走レポート。
ラファ スーパークロス野辺山開催日/2019年11月23日(土)~24日(日)
開催場所/長野県南佐久郡南牧村 滝沢牧場
泥と自転車にまみれる、〝これぞ野辺山〟な2日間
前夜からの雨は上がり、澄み切った空気と初冬とは思えない温暖な陽光、そして何よりもこのレースイベントの代名詞でもある泥のコンディションがレーサーたちを待ち受けていた。今回で回目を迎えるラファ・スーパークロス野辺山。八ヶ岳の中腹に位置する野辺山高原の滝沢牧場を舞台に、UCIカテゴリーのシクロクロスレースとして成長し続けてきた本イベント。その今回のトピックスは、何と言っても「グラベルチャレンジ」カテゴリーが新設されたことだ。2019年に日本各地で開催され始めた、未舗装路を多く含んだコースを走るエンデューロレース形式のグラベルレース。その新しい流れの年を締めくくるべく、シクロクロスレースの翌日にグラベルチャレンジは開催された。
コースとなるのは、滝沢牧場をスタート・中継・ゴール地点として、八ヶ岳へと上って行く未舗装林道がメインとなる全27・8kmの「ステージ1」。そこに南牧村へと降りて上り返すオンロードを主体とする23・1kmの「ステージ2」が組み合わされる。それぞれに設けられた上り区間のタイムを計測するレースカテゴリーと、タイムを競わず純粋にサイクリングを楽しむというツーリングカテゴリー分野がイベントでは設けられた。参加者の多くは丸2日間、野辺山で自転車にどっぷり浸る週末を過ごすこととなった。
野辺山から発信する日本のグラベルロード体験
日曜朝、グラベルチャレンジがスタート。濃霧に覆われた滝沢牧場の泥の中をすり抜けるように進んでいく選手たちの姿に続いて行くと、現実からどんどんと遠ざかっていくような冒険心が芽生えていく。多くのロード乗りにとって、未舗装路をそれに適したバイクで飛ぶように上り、駆け下りるという走り方は、まだまだハードルが高い。だからこそ、こうしてイベントに参加することは、「この道は好きに走って大丈夫ですよ」と言ってもらえる安心感もあるのだろう。
懐かしき農村と言えるような集落を抜け、落ち葉と泥のシングルトラックを心拍を上げつつ上りきったかと思うと、突如開ける牧草地帯。その先にそびえる八ヶ岳を見ながらのコーヒーブレイク。それはサイクリングでのみ許される小旅行だ。グラベルやツーリング、仲間と共有する時間など、自身が自転車を楽しいと思える刺激が積み重なり、それはSNSでもなんでも、もっと多くの人へと伝えたいという想いに変わる。
ゆるやかに響きわたる鐘の音
もとより野辺山シクロクロスといえば、「魅せるレース」として徐々に人気が広がっていったと言える。UCIカテゴリーとして世界トップクラスの選手が野辺山に集い、同じく日本のエリートクラスの選手たちとの泥まみれの戦いを観客たちは間近で応援することができるのは、特別な体験だ。それは選手にとっても同様で、本年のエリート男子で2度目の勝利を飾ったエミル・ヘケレ(ZEKOF TEAM)は「この野辺山のマッドなコンディションは、私にとっては得意とは言えない。だけどトリッキーなカーブであったり、フラット寄りな地形は自分に向いているし、それは私の経験を最大限発揮させてくれます。この観客が一緒に盛り上がる感じで、再び野辺山に帰ってきたことを実感しますね」と語る。
そんなトップ選手には遠く及ばないが、C4レースに出走した筆者ですらも、自身の持てるパフォーマンス力はさておき、観客を前にして「ちょっとでもカッコ良く走りたい」という欲から、楽しみ続けてレースができる。観戦する側にとっても、カウベルを鳴らし、ビールでも飲みつつ会場全体で楽しむという雰囲気が緩やかに漂っている。「この野辺山で勝ちたい、走りたい、観に行きたい」というサイクリストたちの想いは、シクロクロスがこの日本に改めて根付くためのひとつの転機となったことは間違いない。
ここまでの野辺山は、シクロクロスというひとつのサイクリング文化を、新たな価値観を共有していくことによって育て上げた。今、グラベルロードという新しいカタチを手に入れたことで、野辺山は次なる流れを生み出していく基点となっていくのだろう。
ラファのアイテムをまといディープウィンターを暖かくライドする
冬を迎えた野辺山で、ラファのディープウィンターアイテムをテスト。一つ一つを目的に合わせてセレクトすることで、あらゆる状況でも寒さを忘れて走りに集中できる。
ITEM 01
ピークド メリノ ハット
価格/6000円(税込)
●保温性と吸汗性の高いメリノウールを全面に使用しつつ、前面には防風生地を追加しヘルメット内を快適に保つ。冷えがちな耳もカバー
ITEM 02
ディープ ウィンター グローブス
価格/2万3000円(税込)
●ジャケットの袖口と一体化させるため、二層の袖口を採用。手の甲にはインサレ̶ションが配置され暖かさを保ち、指先は立体裁断でレバー操作も難なくこなせる
ITEM 03
エクスプロア カーゴ ウィンター タイツ ウィズ パッド
価格/3万9000円(税込)
●脚の両側と背中にポケットを備えた汎用性の高いロングビブショーツ。フリースの裏地と撥水加工を施した耐久性の高い素材を採用
ITEM 04
プロチーム インサレーティッド ゴアテックス ジャケット
価格/5万1000円(税込)
●ゴアテックスシェイクドライ素材に、縫合部分は全てテープ加工を施し、冬の悪天候に完全に対応する究極の防水ジャケット。ピンク部の中綿は保温力と疎水性が高い
ITEM 05
ディープ ウィンター ソックス
価格/4000円(税込)
●メリノウール生地をふんだんに使いつつ、より防寒能力を高めるためにロングカットや足裏のパッド、つま先の耐風性など細部までこだわり抜いた
ITEM 06
プロチーム ロング スリーブ サーマル ジャージ
価格/2万5000円(税込)
●軽量でありながらも保温性を兼ね備えるべく、裏地には肌触りのいい裏起毛を使用。冬のトレーニングでも活躍するタイトフィットな高性能ジャージ
ITEM 07
プロチーム サーマル ベースレイヤー ロングスリーブ
価格/1万1500円(税込)
●厳冬期に向けたインナーとして暖かい空気を閉じ込め、かつ汗のクールダウンを防ぐ機能を昇華。それでいて前傾の深いポジションに対応するカッティングだ
素材感と機能性を組み合わせコアから末端までをカバー
凍てつくような朝の空気は、寒さが人一倍苦手な僕がライドに出るのをためらわせる。でもそんな気持ちも体も暖かいまま走り出させてくれるのが、ラファのディープウィンター用のアイテムたちだ。
そして、特に冷えから守りたい頭頂部や手先、足先など末端にも、高い保温性を持つアイテムを選ぶことで、上りのピークで仲間を待つ間からダウンヒル時まで、寒さを忘れて走りに集中できる。この冬本番は、寒がりな自分から仲間を誘ってライドに出てみようか。
Rapha FESTIVE 500 CHALLENGE
年末のサイクリストの風物詩
これまでに走った参加者の総走行合計距離が1億kmに達するラファ「#Festive500」。サイクリストのSNSであるストラバと連携したこのチャレンジは至ってシンプルで、「年末の8日間に500km走る」というもの。そしてただ距離を走るだけでなく、それぞれのライダーの物語をハッシュタグとともにSNS上で表現し、皆で共有できるというのも、もはや年末の風物詩となった理由だ。
#Festive500の達成者は全員、オンライン上ではストラバの称号が、リアルでは記念刺繍ワッペンが手に入る。ちなみに10年間行われてきた刺繍ワッペンの送付サービスは今回が最後となるので逃さぬように。ちなみにサイスポ編集部も2019年末チャレンジする。一緒に2019年のライドを笑顔で締めくくろう。
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December 24, 2019 at 01:33PM
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