芸能活動との両立を図りながら3年ぶりとなる長編小説を発表した。選んだテーマは人との出会いを手助けする「マッチングアプリ」。高校生の間だけで利用できるものがあったらどうなるか。テレビ番組に出演して、マッチングアプリで出会ったカップルの話を聞き、いろんな意見がだされるのをみて、気になったことが発想につながった。
「高校生の青春群像劇は書いていなかった。高校生の記憶が薄れないうちに高校生の話を書いておきたかった。ただ、自分の景色を言葉で表現しても工夫がない。SNSやアプリが大きな柱になっている時代。高校生が会いたい人と会うことのできるアプリと、そこから起きる意見のぶつかり。それを書けたら、おもしろいものができるのではないかと思いました」
「オルタネート」と呼ばれる高校生限定のマッチングアプリ。人付き合いにコンプレックスを抱える調理部部長の女子生徒、絶対真実の愛を求め続ける「オルタネート」信奉者の女子生徒、高校中退で「オルタネート」対象者からはずれ、かつてのバンド仲間を探しに上京した若者-。東京の高校を舞台に、出会いと別れ、葛藤と挫折、そして運命と選択のときを描く。
「体験した話ではないが、高校生のころは自分もいろんな感情がうごめいていた。その心の動きを前に出しながら書く。そうすることで自分の分身のようになっていく」。胸に迫る痛みと柔らかなぬくもり。それを自分の物語のように端正な筆致で描いたところが大きな魅力だ。
調理、園芸、音楽、バスケットボールと登場人物のかかわる世界も多彩だ。「園芸はしないけど、自分の好きなものでないと書けない。“スポ根”もニュアンスが違う。好きなものにキャラクターや興味の対象をおきました」と話す。
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連載長編小説は初めて。連載が始まった「小説新潮」(1月号)は予約が殺到し、記録の残る60年余りで初の重版になった。前作の後、青春小説の話があってチャンスと取り組んだが、連載という形もあって反響は大きくなった。
小説を書くきっかけは、時間のあるときにできることはないかと模索したことにある。エッセーを書いていて、文章を書くことが向いていると思ったが、「エッセーは自分を切り売りするところがあって限界があると感じた」と創作に向かう。
「休みの日に一気に書いています。集中が途切れると戻すのが難しくなるので長く書けるときに書きたいと思っています」。一方で芸能活動の効果もある。「芸能活動ではいろんな人に会え、いろんな所に行くことができる。常に取材をしている感じがしています。テレビ番組に出ることもその一つ。面白いものがあると小説になる。考えることはどこでもできます」
遺伝子解析に基づくマッチングの場面も「勉強しなければいけないと思い、資料を読み、検査キットを試した」という。
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単行本の発売に合わせて自らも登場するプロモーションビデオの製作を依頼した。「小説の実写化ではなく、インスパイアされた映像になっています」。雨の日の高校の教室や校庭を舞台に、生徒たちの様子や表情、スマホ画面のアプリケーションなど、小説のイメージを3分弱の動画で表現し、ユーチューブや一部書店の店頭で公開した。
「今回はとくに若い人たちに読んでもらいたい。若い人は“画像”を持ち歩いており、映像に触れる機会が多い。若い人たちは小説を読まないともいわれているので貢献もできる」
映像は読む人の想像の域を狭める恐れがあるが、逆にそれを広げ、小説を読んだ後に、さまざまな解釈を楽しめる動画にもなったという。現代の青春群像劇を表現する世界の変化と広がりがここにも感じられる。
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3つのQ
Q今一番関心を持つことは
米大統領選。日本にも影響がある。選挙後の動向をしっかり見ていきたい
Q次回作のアイデアは
書いたことのないものを書きたい。時代は激動のタイミング。のんびりと書くものを見つめていかないといけないと思っています
Q読みたい本は
宇佐見りんさんの作品。対談する機会があり、新作をまだ読めていないので楽しみにしている
(文化部 蔭山実)
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かとう・しげあき 昭和62年、大阪府出身。青山学院大法学部卒。ジャニーズ事務所のアイドルグループ「NEWS」のメンバーとして活動しながら、平成24年1月に『ピンクとグレー』で作家デビュー。その後、『閃光スクランブル』『Burn・-バーン-』『傘をもたない蟻たちは』『チュベローズで待ってる(AGE22・AGE32)』で人気を博し、今年3月には初のエッセー集『出来ることならスティードで』を刊行した。
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December 06, 2020 at 12:00PM
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【ザ・インタビュー】青春群像 記憶残るうちに描く 加藤シゲアキさん「オルタネート」 - 産経ニュース
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