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『パラサイト』が描けなかった問題。 富裕層の“欺瞞“を描く傑作が示すもの(ハフポスト日本版) - Yahoo!ニュース

ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』が、アカデミー作品賞を受賞した。アジア映画として初めて作品賞にノミネートされたことで大きな話題となっていたが、見事受賞という結果を残した。

世界中で高い評価を受ける本作を、「ポン・ジュノ作品の最高到達点」としながらも、映画が描きれなかった現実社会の「より複雑な問題」に注目したい、というのは評論家の藤田直哉氏だ。

藤田氏がハフポストに寄稿した。

 *

格差や環境問題を扱った本作が、世界中で高く評価される背景には、これまでのポン・ジュノ作品で扱われた趣向や技法の成熟がある。

この記事では『パラサイト』へと集約される重要な作品を紹介した上で、彼が見事に描き切った、現代の富裕層の欺瞞について解説を試みたい。

その向こう側には、『パラサイト』が回避したより深刻な問いが浮かび上がる。金持ちが、真に慈悲と思いやりに満ちた人々だった時、”持たざる者たち”は、何に怒りを覚えればいいのか、という問いだ。

*この記事は、一部「ネタバレ」を含みます。

寄生虫と宿主ーー『パラサイト』と『グエムル-漢江の怪物-』は”対”になっていた。

『パラサイト』へと続く、ポン・ジュノ作品を振り返る時、『グエムル-漢江の怪物-』の話は、是非しておかなければならない。韓国で1000万人以上を動員する大ヒットとなった本作の英題は『The Host』なのだから。

『Parasite』というタイトルは、明らかに「Host」と対になっている。日本語にすると「寄生虫」と「宿主」という意味である。

「グエムル」とは、韓国語で「怪物」を意味する。その怪獣は、漢江に不法投棄された化学薬品の影響で生まれたものだった。そいつが大暴れして、韓国の人々が大勢犠牲になる。この設定は、2000年に米軍がホルムアルデヒドを漢江に流すという事件を連想させるように作られている。結末近くでは、米軍がベトナム戦争で用いた枯葉剤「エージェント・オレンジ」をもじった「エージェント・イエロー」という化学兵器も登場する。監督のインタビューなどを参照するに、明確に米国批判、米軍批判の意図がある作品だ。

このような「怪獣」の使い方は、怪獣に街を壊滅させることで核兵器・原子力の脅威と惨禍を伝えた『ゴジラ』(1954)をふまえていると思っていいだろう。

英題を『The Host(宿主)』とした『グエムル』において、「宿主」と「寄生虫」とは何だったのか。韓国が宿主で、米軍(基地)が寄生虫か。あるいは、安全保障などの面でアメリカに依存しなくてはいけない韓国が寄生虫なのだろうか。

寓意は多義的であり、一つに確定するのは困難だ。いずれにせよ『パラサイト』を理解するためには、それと対になった『グエムル』の反米性、及び強者と弱者の多義的な対立構造は把握しておく必要があるだろう。

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February 11, 2020 at 10:17AM
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